はっきり言ってオーディオには全く興味がなく、テレビでもラジオでもラジカセでも歌や演奏が聞き取れればOK、スピーカーの音質がどうとかいうオーディオマニアの語りにはうんざりしてしまうほうでした。ところが、突然夫が知人から真空管アンプと言うものを借りてきて、そこから流れてくる音楽に仰天してしまいオーディオ機器による聞こえ方の違いを思い知らされたのです。演奏している楽器の音がいろんな方向から聞こえてくるような感じで、演奏者がどの位置にいるのかが分かるような、初めての不思議な体験でした。真空管と言えば私が小さい頃のテレビの部品として使われていた、変な形の電球みたいなものだという認識がありました。あのへんな電球もどきが、こんなに素晴らしい音を出せるのかとちょっと信じられませんでしたが、この真空管アンプを通さない今風のオーディオでは全然物足りないと感じるようになったのです。オーディオにこだわりのない私でも真空管にすっかり魅了され、ウチにも欲しいと購入する気になったのですが、問題はその価格で「えっ、こんな変な電球みたいなのが並んでいるだけで」とためらってしまいました。でも、あの立体的に音が飛び出してくるような感覚が忘れられず夫のお小遣いから出すなら、と前向きに検討しています。