好きはものは何か人に聞かれ 本が好きなんですと答えると、ああ、読書が好きなんですねと。間違ってはいない。読書はもちろん好きだ。でも読書というより本なんです。
本が好き。この場合の本とは紙ベースのものを指す。面倒な時代だ。本が意味するものを電子書籍か紙ベースか説明が必要だなんて。
私も試しに青空文庫なるサイトで、斜陽を読んでみたことがある。その時特に谷崎文学読みたかった訳ではなく、無料で読める作品の中から懐かしく選んだというだけ。
極めて消極的な理由で読み始めてみればやはり引きつけられ一気に読み上げた。
当然のことだが作品は電子書籍でも紙でもかわらず名作なんだ。
でもなんだか私にとっては違う。
手に取った重さ、表紙、まっさらなページをめくる感じ。以前は紙の匂いももっとしたような。その本から作品の思いを直に感じ取れる感じがする。
本屋や高崎のオーダー家具店で購入した自宅の壁面本棚の前で手に取ったり戻したり、画面をスクロールするのと違う選択の実感。実体のある本を通して作品を尊重している思い。本が好きなんです。