はたらくお母さん

宇都宮で乳がんの治療をしばらく受けた後、埼玉のエコキュート施工会社で働いています。先日、同僚が産休から仕事に復帰しました。看護師と言う職業柄、職場に女性が多く「はたらくお母さん」へのサポートも充実していて、毎日、自信を持って働いています。
その一方で、理解とサポートに恵まれないお母さんもいます。
以前在籍していた会社で、正社員として働いているお母さんがいました。
お子さんが幼稚園に通っていたので、夕方に会社を抜けてお迎えに行き、その後、実家にお子さんを預けて、30分ほどで仕事場に復帰していました。
もちろん、仕事の込み具合で定時に上がれない時は、他の社員と同じように残業もこなします。
ある日、少々浮かない顔をしていたので話を聞いてみると、専業主婦のお母さんに「仕事にいって子どもをほったらかしにするなんて、子どもが可哀想」と言われたようなのです。
また、彼女の夫が子どもを迎えに行った日には「なんて立派なお父さんなんでしょう」とべた褒めされている、とも言っていました。
「会社を少し抜けて、子どもを迎えに行く」という同じ行動に与えられた評価がこのように違うのはなぜなのでしょうか?
社内でも、似たり寄ったりの反応です。彼女が幼稚園に行くために席を立つと「子どもがいるから仕事に集中できないんだよ。これだから女はダメだな」と言う人がいます。

一方で子どものいる男性社員が「今日、かみさんが迎えに行けないんで、迎えに行ってそのまま帰ります」と言うと、「いやぁ、君は本当に良いパパだねぇ。ごくろうさん」と快く送り出してもらえます。
もうとっくに消えたと思っていた封建的な男女観が、私たちの生活に強く根付いていることに気づかされた、ある意味「貴重な体験」でした。

それから私は転職しその職場を離れたので、現在の彼女がどうしているかはわかりません。「彼女を取り巻く状況が少しでも良くなればいいな」と、友人の自信に満ちた笑顔を見ていると考えてしまうのでした。